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小説【地雷グリコ】あらすじ、登場人物、見どころ、評判、おすすめ、作品情報

あらすじ・ネタバレ

『地雷グリコ』は、青崎有吾による本格頭脳バトル小説です。この作品は、勝負事に非常に強い女子高生、射守矢真兎が主人公です。彼女は平穏な日常を望んでいますが、さまざまな風変わりなゲームに巻き込まれていきます。
物語の舞台は都立頬白高校で、五月になると文化祭「頬白祭」が近づき、学校は慌ただしくなります。文化祭では、使用したい場所を実行委員会に申請しますが、一番人気があるのは屋上で、使えるのは一団体のみです。この使用権をかけて争奪戦が繰り広げられます。これが「愚煙試合」と呼ばれるものです。
愚煙試合の決勝は、生徒会代表の椚迅人と一年生の射守矢真兎の間で行われます。二人が勝負するのは「地雷グリコ」というゲームです。このゲームは、じゃんけんの「グリコ」に地雷の要素を加えたもので、四十六段の階段を先に登り切った方が勝ちというルールです。ただし、地雷を踏んだら十段下がらなければなりません。
真兎はこの試合で、相手の椚迅人の性格を見抜き、巧妙に罠を仕掛けます。読者にとっても、この仕掛けが伏線となり、ゲームの展開が非常にスリリングで面白いものとなっています。
他にも、真兎が挑むゲームとして「坊主衰弱」や「自由律ジャンケン」などがあります。「坊主衰弱」では、かるた部がかるたカフェから出禁になったため、謝罪と出禁を解いてもらうためにカフェを訪れ、カフェのマスターと対決します。このゲームもまた、単純なルールに奥深い戦略が加わり、読者を引き込む内容となっています。
『地雷グリコ』は、全五篇からなる連作短編集で、各話ごとに異なるゲームが登場します。どのゲームも、シンプルなルールに独自の要素を加えることで、緊張感と知的な駆け引きを楽しむことができます。真兎が次々と強者を打ち破っていく姿は、まさに頭脳バトルの醍醐味を味わえるものです。

登場人物・キャラクター

• 射守矢真兎（いもりや まと）
  • 都立頬白高校一年生。亜麻色のロングヘアにぶかぶかのカーディガンを着ている。外見や言動はちゃらんぽらんに見えるが、勝負事に非常に強い。文化祭の場所取りをめぐって生徒会と対決し、独自ルールを加えたゲームに挑む。
• 鉱田（こうだ）
  • 射守矢真兎の同級生。真兎に文化祭の場所取りを頼む。真兎が生徒会と対決する際に協力する。
• 椚迅人（くぬぎ はやと）
  • 生徒会役員。真兎と「地雷グリコ」で対決する。頭脳明晰で、真兎にとって強敵となる。
• 佐分利（さぶり）
  • 生徒会長。真兎の評判を聞き、彼女を生徒会に入れるために変則的なジャンケンで勝負を申し出る。

見どころ

見どころは、独自のルールが加わったゲームと、それを通じた頭脳戦です。
「地雷グリコ」は、文化祭で一番人気の屋上に出店できる権利をかけて行われるゲームです。主人公の射守矢真兎は、クラス代表として生徒会と対戦します。ゲームはジャンケンを使って階段を上がるというシンプルなものですが、各プレイヤーが三つの場所に「地雷」を仕掛けることができ、相手がその段で止まると十段下がらなければならないという独自のルールが加わっています。このルールにより、どこに地雷を仕掛けるか、どの手を使うかなど、戦略が重要になります。
真兎は、提示されたルールを素早く理解し、効果的な作戦を立てます。その過程で、読者も一緒に戦略を考え、どうすれば勝てるのか、どこに穴があるのかを考える楽しさがあります。さらに、神経衰弱、ジャンケン、だるまさんがころんだ、ポーカーなど、よく知る遊びが独自のルールでまったく異なるゲームに変わる興奮と驚きがあります。
また、本書は青春のエネルギーに満ちており、敵が味方になり、チームを組んで闘いを広げていく少年漫画的な展開も魅力です。真兎の参謀役を担う鉱田との関係性や、緊張感漂う心理戦と謎解きが、読者を引き込みます。
「地雷グリコ」は、シンプルな遊びに独自ルールを加えることで、スリリングな頭脳戦を展開する作品です。読者は、真兎が次々と強者を打ち破る姿にハラハラドキドキし、同時にその戦略に驚かされることでしょう。

感想・レビュー・口コミ・評判

『地雷グリコ』は、女子高生が頭脳戦を繰り広げるミステリー小説です。読者からは「非常に面白い」「今年読んだ中でベスト」といった声が多く寄せられています。特に、各短編が個性的で分かりやすく、スラスラ読めるとのことです。連作短編でありながら、それぞれの短編だけでも楽しめる一方、最後にはしっかりとしたオチがある点も評価されています。
また、学園ものとしても楽しめるライトミステリーで、全5章にわたって高校生たちが頭脳戦ゲームを繰り広げます。馴染み深いゲーム（グリコ、だるまさんが転んだ、坊主めくりなど）が土台となっており、独自のルールが加えられることで面白さが増しています。
さらに、各短編の頭脳ゲームは非常によく作り込まれており、絶対に負けたと思われる場面からのどんでん返しや、伏線の回収が見事であるとの評価もあります。特に、主人公の機転や狡猾さが際立つ場面が多く、読者をハラハラさせます。
一方で、一部の読者からは生徒会長のジェンダー描写や設定に馴染めなかったとの意見もありますが、全体としては非常に高評価です。特に、子供の頃に遊んだゲームが頭脳戦、心理戦に進化する様子に感嘆する声が多いです。最終章のポーカーについても、緻密に張られた伏線が一つ一つ回収され、最後にどんでん返しがあるとのことです。
全体として、『地雷グリコ』はミステリーファンのみならず、多くの読者に楽しんでもらえる作品です。続編を期待する声も多く、今後の展開にも注目されています。

どんな人におすすめ？

「地雷グリコ」は、ミステリーや頭脳バトルが好きな人におすすめです。この作品は、都立頬白高等学校の一年生である射守矢真兎を主人公にした連作短篇集で、全五話とエピローグから成り立っています。物語の中で真兎は、風変わりなゲームに巻き込まれながらも、次々と強者を打ち破っていきます。
「地雷グリコ」は、じゃんけんをして勝ったら階段を上がるという一般的なグリコに、地雷を仕掛けるという要素を加えたゲームです。地雷は本当に爆発するわけではありませんが、心理戦が重要な要素となっています。このような設定が好きな人にとっては非常に楽しめる内容です。
また、この作品はミステリーの技巧を駆使して書かれており、最後に明かされる真相に向けて全ての要素が計算されて組み立てられています。そのため、謎解きが好きな読者にもぴったりです。複数の視点が使われているため、物語が多角的に進行し、飽きずに読み進めることができます。
さらに、真兎が挑む他のゲームも魅力的です。「坊主衰弱」では百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑むなど、ユニークなゲームが次々と登場します。これらのゲームは、単なる運だけでなく、相手の思考を読み解く頭脳戦が求められるため、戦略的な要素を楽しみたい人にもおすすめです。
このように、「地雷グリコ」は、ミステリーや頭脳バトル、心理戦が好きな人にとって非常に魅力的な作品です。青崎有吾の巧みなストーリーテリングと緻密な設定が、読者を引き込むことでしょう。

作品情報

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