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小説『同志少女よ、敵を撃て』あらすじ、登場人物、見どころ、評判、おすすめ、作品情報
- あらすじ
- 登場人物
- 見どころ
- 感想・レビュー・口コミ・評判
- どんな人におすすめ?
- 作品情報
あらすじ・ネタバレ
逢坂冬馬の小説「同志少女よ、敵を撃て」は、第二次世界大戦中の独ソ戦を舞台にした物語です。主人公は、ロシアの小さな村で母と暮らしていた少女セラフィマです。しかし、1942年にドイツ軍が村を襲撃し、母親を含む村人たちが惨殺されてしまいます。セラフィマも殺されそうになりますが、赤軍の女性兵士イリーナに救われます。
イリーナはセラフィマに「戦いたいか、死にたいか」と問いかけます。セラフィマは母を撃ったドイツ兵と母の遺体を焼いたイリーナに復讐することを決意し、イリーナが教官を務める訓練学校で狙撃兵になるための厳しい訓練を受けることになります。同じように家族を失った女性狙撃兵たちと共に訓練を重ね、セラフィマはやがてスターリングラードの前線へと向かいます。
セラフィマは、訓練を通じて多くの仲間と出会い、戦場での厳しい現実に直面します。彼女は母の仇であるドイツ兵ハンス・イェーガーを倒すことを目指し、戦場での数々の困難を乗り越えていきます。戦争の中で成長し、復讐心を抱えながらも、彼女は次第に「真の敵」とは何かを見つめ直すようになります。
この小説は、戦争の悲惨さや女性たちの強さを描きながら、読者に深い感動を与える作品です。セラフィマの成長と葛藤を通じて、戦争の中で生き抜く人々の姿がリアルに描かれています。
登場人物・キャラクター
- セラフィマ
- 1924年生まれの少女で、狩りの名手です。愛称はフィーマ。狙撃兵訓練学校に入学し、狙撃兵を目指します。
- エカチェリーナ
- セラフィマの母親です。
- ミハイル
- セラフィマの幼なじみで、愛称はミーシカです。
- イリーナ
- 元狙撃兵で、狙撃兵訓練学校の教官長です。
- シャルロッタ
- 狙撃兵訓練学校の生徒で、モスクワ射撃大会の優勝者です。
- アヤ
- 狙撃兵訓練学校の生徒で、カザフ人の猟師です。
- ヤーナ
- 狙撃兵訓練学校の生徒で、生徒の中では最年長です。
- オリガ
- 狙撃兵訓練学校の生徒で、ウクライナ出身のコサックです。
- ターニャ
- 赤軍の看護師です。
- マクシム
- 赤軍第62軍第13師団、第12歩兵大隊の大隊長です。
- ヒョードル
- 赤軍第62軍第13師団、第12歩兵大隊の兵士です。
- ユリアン
- 赤軍第62軍第13師団、第12歩兵大隊の狙撃兵で、スターリングラード射撃大会の優勝者です。
- ボグダン
- 第62軍第13師団、第12歩兵大隊付きの督戦隊です。
- ニキータ・フルシチョフ
- 実在の人物で、スターリングラードにてセラフィマと邂逅します。
- リュドミラ・パヴリチェンコ
- 実在の人物で、確認戦果309名射殺という成績を残した史上最高の女性スナイパーです。
見どころ
見どころは、主人公セラフィマの成長と復讐の物語です。セラフィマは、1942年の独ソ戦中に母親をドイツ軍に殺され、赤軍の女性兵士イリーナに救われます。彼女はイリーナの訓練学校で狙撃兵としての訓練を受け、母の仇を討つために戦う決意をします。
セラフィマは、同じように家族を失った女性たちと共に訓練を重ね、やがてスターリングラードの前線へと向かいます。そこで彼女は多くの死と直面しながらも、仲間との絆を深めていきます。この過程で、戦争の残酷さと人間の強さ、そして友情が描かれています。
また、物語はただの戦争小説ではなく、女性の視点から描かれている点が新鮮です。女性狙撃兵として戦うセラフィマの姿は、これまでの戦争作品ではあまり描かれてこなかった女性の役割や感情を生き生きと伝えています。
さらに、戦争の中での人間ドラマや、個人の良識と戦場の現実との間で揺れ動く様子がリアルに描かれており、読者に深い感動を与えます。セラフィマが成長し、復讐を果たすまでの過程は、読後に爽快感をもたらす一方で、戦争の悲惨さを再認識させるものとなっています。
このように、『同志少女よ、敵を撃て』は、戦争の厳しさと女性たちの友情、そして個人の成長と復讐の物語が巧みに織り交ぜられた作品です。読者は、セラフィマと共に戦争の現実を体験し、その中で見つける希望や絆に心を動かされることでしょう。
感想・レビュー・口コミ・評判
「同志少女よ、敵を撃て」は、特にその物語のカタルシスや読後感が爽快であると多くの読者から評価されています。しかし、その爽快さに対して複雑な感情を抱く読者もいます。物語の中で主人公セラフィマが経験する戦争の現実や人間の心理が深く描かれており、読者に強い印象を与えています。
この作品は、女性の視点から見た戦争を描いており、女性が戦争に参加し、狙撃兵として戦う姿が描かれています。特に、セラフィマが戦争の中で成長し、復讐を果たそうとする姿が感動的であり、多くの読者が共感しています。また、戦争の中での女性の役割やその後の生活についても考えさせられる内容となっています。
さらに、第二次世界大戦の独ソ戦の進行状況や狙撃の技術説明が物語に肉付けされており、戦争の知識がない読者でも興味深く読み進められるとの声があります。登場人物たちの葛藤や心情の変化が鮮明に描かれており、戦争という特殊な環境下で生きることの意味を考えさせられる作品です。
また、この作品は女性同士の連帯が描かれており、国や肩書きに囚われない人間関係が強調されています。これは、これまでの戦争作品ではあまり見られなかった視点であり、多くの読者が新鮮に感じています。
全体として、「同志少女よ、敵を撃て」は、戦争の現実を深く描きつつも、女性の強さや連帯を描いた感動的な作品として高く評価されています。
どんな人におすすめ?
「同志少女よ、敵を撃て」は、逢坂冬馬のデビュー作であり、2022年本屋大賞を受賞した作品です。この小説は、1942年の独ソ戦を舞台に、主人公の少女セラフィマが家族を失い、復讐のために一流の狙撃兵となる物語です。
この作品は、戦争の悲惨さや命の重さを深く考えさせられる内容でありながら、エンターテイメント性も兼ね備えています。映画を観ているかのような緊迫感あるシーンが多く、読者を引き込む力があります。そのため、以下のような人におすすめです。
まず、戦争や歴史に興味がある人におすすめです。独ソ戦という歴史的な背景を詳しく描いており、戦争の現実や兵士たちの葛藤がリアルに伝わってきます。また、戦争の中での人間ドラマや感情の動きに触れることができます。
次に、感動的な物語が好きな人にもぴったりです。主人公セラフィマの成長や復讐の過程を通じて、読者は彼女の強さや決意に共感し、感動を覚えることでしょう。彼女が仲間たちとともに困難を乗り越えていく姿は、心に深く響きます。
さらに、スリルやアクションが好きな人にも楽しめる作品です。狙撃手としての訓練や戦闘シーンは緊張感があり、手に汗握る展開が続きます。弾丸の行方や戦場の描写が詳細で、まるでその場にいるかのような臨場感を味わえます。
最後に、深く考えさせられるテーマを持つ作品を求める人にもおすすめです。この小説は、戦争の意味や命の重さについて読者に問いかけてきます。単なるエンターテイメントにとどまらず、読後に深い余韻を残す作品です。
総じて、「同志少女よ、敵を撃て」は、歴史や戦争に興味がある人、感動的な物語を求める人、スリルやアクションを楽しみたい人、そして深く考えさせられるテーマを持つ作品を読みたい人におすすめの一冊です。
作品情報